- 作者: いがらしみきお,山上たつひこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: コミック
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面白いのは間違いないんだけど、怖いというか気持ち悪いというか、所々でゾワゾワと不安な気持ちになった。最初、その設定だけを見た時は、紆余曲折あって最後はこの事業も大成功!元受刑者も受け入れられて大団円!な方向へもっていく物語なのかなーなんて勝手に思っていたけれど、そんな分かりやすい話ではないと思い知らされました。
以下、内容に触れています。
受け入れた元受刑者の起こした事件が、強盗殺人、強姦、詐欺、誘拐、恐喝から覚醒剤中毒まで、千差万別な上重大な犯罪も多いのに驚かされた。加害者に同情の余地のある事件ならまだしも、強盗殺人、強姦など確かに自分の隣人だったらまず恐怖を覚えるような罪状も並ぶ。加害者もそれぞれ事情があるので、更正できるんじゃないか、社会に馴染めるんじゃないか…と思わせるような人から、早速トラブルを巻き起こしそうな予感をさせる人、何を考えているか全く分からない人など、様々な人がいる。この11人の元受刑者がしっかり描きこまれているので、その表情や態度から見守ろうと思えたり、嫌悪感を覚えたり、不安を感じたりといろんな感情が呼び起こされた。
事情を知っているひとり、月末さんが元受刑者たちの面倒を見ているのだが、彼の偏見や恐怖や疑問が時に過剰にに、時にコミカルに表現されている。相手を絞殺した男の爪が大きかったり、割り箸を綺麗に割る様子にすら驚き、「これが人を殺せるパワーか!」などと考えてしまう月末さんの行動はいちいち面白いんだけど、それはそのまま自分の姿に重なる。多分、自分が月末さんの立場だったら同じように動揺し、おどおどしながら接してしまうと思う。それでも月末さんは自分の役割を全うしようと、全力で関わっているからすごいと思うよ。その熱血ぶりで元受刑者の心を動かす事もあるんだから。
地元の奇祭が始まる所で1巻終了だったけど、確実に荒れそうな予感がするのが怖い。だから早く続きが読みたいよ!怪魚のような格好をして包丁を手に町を徘徊する「のろろ祭り」、こののろろの不気味な姿にも意味があるんだろうね。