のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

乱反射

妻夫木くんは、すごい役者さんになったねぇ(お前は何様)。序盤の、ニコニコヘラっとその場をなんとなく収めて、問題は先送り…的なキャラは、得意というかこれまでにも見たことある妻夫木キャラだったけど、中盤以降、見えない真相や納得できない対応の連続で蝕まれていく夫役を鬼気迫る表情で演じてて、見てて怖かったしその憎しみがダイレクトに伝わってきた。
バタフライ効果というのでしょうか、誰もかれもが罪の意識もなくちょっとした自分の都合やわがままでとった言動の連鎖で、幼い子供の命が奪われるという残酷な結果を生み出した。見てて感じたランキングワースト1位は、犬の飼い主!あれはダメだ。糞の放置だけでなく、自分の行いの結果がどうなったかを知る事もなく、何も感じずに同じことを繰り返して過ごしているのが許せなかった。次点がアルバイト当直医。命を扱う仕事に対する無責任さと、自己正当性を繰り返すばかりの被害者面にイライラMaxであった。
加山に追及されて発狂しだした市役所の小林を演じた人のヘイトコントロールも見事だった。あのどこまでもイラッとさせられる演技。たしかに、犬の糞が原因で幼児死亡なんて聞かされても最初は「は!?何言ってんの?」ってなるのは分からなくもない。仕事に対する不満や、クレーム対処のストレス、役所ならではのやり方など、小林の立場を考えすぎると変に共感してしまう事もありえたけど、そこをきっぱりと拒むようにあの嫌な感じを生み出していて、お上手だなぁと思った。
家庭ゴミを外に捨てる事は、他の人達もやっていた「ちょっとした自分勝手な行為」と同じだと加山は気づいたのだと思うが、それをそのままにして立ち去ったのは何でだろうなぁ。妻と生きていくと立ち直ったように見えた加山だけど、やはり心のどこかはまだ壊れたままで、「俺だってこれくらいしてもいいだろう、ここから何か起こっても俺の責任じゃないし」みたいな考えが浮かんでしまったのかなぁ。それとも「あーこれがあいつらの感覚か…」と自分の中にもあるエゴに気づいて、もうどうでもよくなったとか。
最後の最後に、アルバイト当直医の元に診察に来ていた男がニタァと笑っていて不気味だったんだけど、彼は何…?当直医が言っていた、「救急じゃないのに、空いているからという理由で夜間の救急外来に来る人」だったのかな。彼はこれからも救急外来を利用し、アルバイト当直医は混んでいるからという理由で救急患者を断り、同じことが繰り返されるよという事だとしたら、本当に救われない話だ。