のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち [DVD]

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見ている間中、見終わった後も、安定感の悪いイスに座っているような落ちつかな気分になりました。悪い意味でないです、褒めています。静かに淡々と時間と景色が流れる中で、ジョゼが初めて見る景色に心を奪われていても、恒夫が優しい目でジョゼを見ていたとしても、心のどこかでチラチラと浮かぶ不安感。それが始終ついて回ったからかもしれません。
音楽がかなりはまっていた。くるり好きの贔屓目?いやいや、そんなことはないと思いますよ。ピアノの静かな曲がお気に入りです。
以下ネタバレもあります。



恒夫は…ホントにどうしようもないなと思うんだけど、一方で仕方ないよねとも思えてしまう。義憤に駆られて「恒夫酷すぎ!!」とは言えない何かがある。ジョゼと別れたその足で、香苗と会っちゃうあたり最悪だと思うけど、その後の表情を見せられるとなぁ。「逃げた」と自覚しているしね。
暗い海の底で、寂しさなど知らずに生きてきたジョゼ。恒夫によって太陽の明るさを知ってしまったら、一人になった時もうそこへは帰れない…と分かっていて、「それもまた良し」と言い出せる強さはどこから来るんだろうか。普通は、孤独の海に戻りたくないともがくものではないだろうか。
壊れた乳母車を恒夫が「もう直らない」と言って捨てることになった場面が切なかったなー。恒夫との同居で、ジョゼの生活のほとんど全てだった本はなくなってしまったし、乳母車もないし…で、どうなってしまうの??とそこが一番気になっていたが、ジョゼは暗い海の底には帰らず、ひとりだがお日様の下で生きていることに安心した。でも、「強く前向きに生きている」わけではなく、そういう日々が続くから、そこで生きているということなのだろうか。
ラスト、台所に向かうジョゼがいつものようにイスから飛び降りた後、カウントが始まって「ハイウェイ」が流れた出したときは鳥肌が立った。このエンディング凄い。
ちぃちゃんのおっぱいは、見てはいけないものを見てしまったような気分で、すっごいドキドキしました…。