のんべんだらりといきましょう

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連続テレビ小説 らんまん

4カ月遅れで完走しました。途中で見るのをやめなくて良かった。とても気持ちの良い、面白い作品でした!
物語の展開に、万太郎と寿恵子が送る人生に、一喜一憂したけれど、作品そのものに対するストレスや不満がほとんどなかった。脚本、演出、神木くんと浜辺さんら出演者が見事なバランスで作り上げたからなのかな。
万太郎の植物ファーストすぎて日々の生活(特に金銭面)がおろそかになる所は一歩ズレればいら立ちの対象になってただろうが、そうはならなかった。終盤、寿恵子がみえ叔母さんの料亭で働きだした時は(転んで食事をひっくり返して先輩に怒られることもなかったのも良かった)、最初こそこのパートいる…?と疑問に思っていたけど彼女の「冒険」として主体的に描かれていたので、これまでの彼女の行動(石版印刷機を購入に踏み切ったり、借金取りも巻き込んでいく胆力)を考えると筋が通っていて納得できた。神木くんと浜辺さんは本当に主人公二人を魅力的に演じてくれていたと思う。
研究者として成功する人、夢叶わず立ち去っていく人の描き方も丁寧だった。波多野が大学教授になる一方、藤丸は大学を出ても自分の研究を続けて綾の造り酒屋復活の手助けをする。万太郎と協力して論文を発表した大窪は「時代遅れ」となり退職。大きな発見をした野宮さんも大学を去るがその後も絵を描き続けた。全てを手に入れたかに見えるが持たざる者だった田邊教授の抱えていた闇とその先に見えた光。彼らが万太郎の理解者、もしくは立ちはだかる壁としての装置でなく、それぞれの人生を尊重して描いてくれているようだった。
高知で出会った早川逸馬の再登場、万太郎のターニングポイントに現れて必ず彼の背中を押してくれる佑一郎くん。かつて出会った人たちが再び交わるのを見るのがとても好きだった。特に佑一郎くんはコースは違えどずっと一緒に走り続けていたランナーだったから、全てやり切った最後に「ただのエンジニア」として万太郎に協力してくれる姿に胸が熱くなった。
最終回、完成した立派な植物図鑑を見ただけで泣きそうになったけど、まえがきにお世話になった人、ゆかりのある人たちの名前が羅列されている中に、大窪さんの名前を見つけて涙涙だった。大窪さんもこの図鑑見てくれたかな。