Wの悲劇
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2011/06/24
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「私、おじい様を刺し殺してしまった!」の劇中劇や、大女優の身代わり事件が作品を占めているのかと思っていたけれど、前半は静香とアキオの恋愛物語だった。なので、物足りなさを感じていたんだけど、中盤以降に三田佳子が本格的に話に絡んでくると途端に面白くなった。腹上死した愛人の身代わりを静香に頼む時のナルシシズムで強引な説得、静香を庇うために関係者の前で語るハッタリ、若い静香に対する嫉妬、若手女優追い出す時の有無を言わせぬ高慢さ、怖気づく静香の肩をゆすって「女優!女優!女優!!勝つか負けるかよ!!」と活を入れ、静香に負けず劣らず全身全霊で舞台を終えた後「今日だけ譲ってあげる」とカーテンコールに送り出す姿など、女優・羽鳥翔が三田さんそのものなんじゃないかと勘違いしてしまうほどの強烈さと圧倒的な存在感でした。三田さん演じる翔と並ぶと確かに薬師丸さんの静香が垢抜けない小娘に見えるわ。
そんな感じで中盤以降三田さんに完全に喰われたかに見えた薬師丸さんが、再び光るのは記者会見のシーンでした。愛人の死を純愛に摩り替えようと演技でその場を乗り切ろうとするシーンは、静香が女優に開眼した瞬間に立ちあったような気持ちになりました。あと、初舞台で最初の言葉を発する前の、迷いがなくなった表情も印象的だった。
あとやっぱりエンディングで流れる「Woman」はいい曲だと思いました。余韻が素晴らしい。
面白かったけれど、ひとつ失敗したと思ったのは劇中劇で和辻家の事件の顛末が分かってしまった事です。しまった!今ドラマ見てるのに!!