- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/07
- メディア: 単行本
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終わってみると、もう一度最初から読みたくなる作品。本を読むというのは、そこに書かれた情景や行間から見えてくるものをイメージしていくが楽しみの一つなのだが、これは「読書」という行為自体がとても楽しいと思わせてくれる小説だった。ページをめくるたびに新たな驚きが用意され、今までバラバラだったパーツが1つずつ丁寧に接続されていく様をじっくりと見ることが出来る。なんて楽しい作業なんだ!
以下、ネタバレもあります。
「これがここで繋がって、あれはあそこに戻るから〜」と整理しながら読んでいく事の楽しいこと楽しいこと。少しずつ全体像が見えてくるたびに、いちいち驚いたり、ニヤニヤしたりと退屈しない物語だった。残りページが少なくなるのを横目で確認しながら、あーもうすぐこの物語も終わってしまう…と残念に思いながら読み進めたぐらいだ。
黒澤を脅した老夫婦の拳銃は、絶対にあの人から何らかの方法で渡されるんだ!とずっと思っていたり、不倫カップルが轢いてしまったのが佐々岡だったらどうしよう!(あまりにも善良そうなのでそれは可哀相、と思った)などなど、見事に翻弄された。あと、完全に騙されたのは、黒澤の種明かし。佐々岡なみに騙されてた、私。
それぞれの人生にそれぞれの幕が用意されているが、一番印象深かったのは北へ向かった河原崎。最後に穏やかな心を取り戻せたことに、少しだけ救われた気がした。