のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

見知らぬわが町

不登校気味の少女のぞみが三池炭鉱のやぐらに興味を持った事をきっかけに、かつてこの町にあった炭鉱を調べ始める事から物語りが始まる。のぞみが調査した結果として、囚人労働や囚人たちの墓地、三池闘争なども紹介され、かつて実際に炭鉱で働いていたお年よりやその家族の話がドキュメンタリータッチで挿入されたりしていた。てっきり、このまま炭鉱町の歴史を見せながら少女の成長を描いた話かと思っていたが、それだけではなくのぞみとその家族の再生の物語でもあった。
リストラされた父親役を杉本さんが熱演。やっぱりすげえな!我慢して溜め込んでいた苦労や憤り、そして誰よりも家族思いである父親を、無骨さと哀愁を持って演じてて見事でした。炭鉱事故の後遺症に苦しむ祖父に振り回され、ついには雨の中飛び出してハーモニカを吹き出したその祖父を止めようと家族が揉める場面はさすがに見ててきつかった。どんだけ欝展開なの。
しかし、最後は明るく希望を持たせるラスト。仕事が決まった父、新聞での連載を開始し学校に行く事を決めた娘、温かく見守る祖母と、予定調和がすぎる気もしたが終盤の祖父をめぐる重い展開を明るくしめるにはこれくらいが丁度良かったと思う。
高橋一生は出番はそれほどなかったが、いい笑顔を振りまいていました。登場シーンが変質者っぽくって心配になったけど、そんな事は全くなかった!(当然だ) いしださんは痩せすぎててちょっと怖いくらいだったけど、喪服の着こなしはさすが!
祖父は炭鉱に生き、そして苦しめられ、父親は炭鉱産業によって救われるという良くも悪くも決して切り離せないものなんだな…というのにいろいろ考えさせられた。