- 作者: 薬丸岳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/08
- メディア: 単行本
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以下、ネタバレもあります。
続きが気になって、最後まで一気に読めた。「男」が誰なのかを考えながら読むのが楽しいし、冒頭から丁寧に伏線が撒いてあるので割とすんなり正体にたどり着ける。終盤、警察が骨折り損を覚悟である男をマークするのだが、それはもっと早くに出して貰った方が最後がバタバタしなくて良かったのではないかと思った。
あとは、長瀬と藤川の繋がりをもっと深く見たかった。長瀬の藤川に対する信頼と失望や、藤川が長瀬の事をどれほど考えているかなどがもっと見えれば、被害者遺族でもある長瀬自身の様々な葛藤がもっと感じられたような気がする。
サンソンの行ったことの是非は、幼女を狙った性犯罪など許しがたいにも程があると思っているので、正直否定できない。ただ、最後まで読み終えた感想は、復讐の連鎖だ、法治国家云々など関係なくて「あなたには、そんなヤツのために手を汚して欲しくない」であった。つまり、サンソンという死刑執行人が幻などではなくて、手を下している実態があるとするならば、やはりあってはならないことなんだと思ったのです。踏みとどまってくれるのを願っていたので、ショックだった。
心からの笑顔を見せたということは、暗い檻から開放されたのだろか。それで失うものはなかったのだろうか。