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アブラクサスの祭 玄侑宗久

アブラクサスの祭 (新潮文庫)

アブラクサスの祭 (新潮文庫)

スネオヘアー主演で映画化ということで、気になって読みました。躁うつ病統合失調症に苦しむ僧侶が、生きる意味でもある音楽でステージに立つまでの物語。スネオが主演というのがずっと頭にあったせいもあってか、主人公の浄念がスネオにしか思えずに、非常にハラハラしながら、心配しながら読み進めてしまった。変な話ですが、私のイメージするスネオヘアーと浄念がぴったりと重なってしまったんですよね。
病に苦しむ浄念の目に映る世界、彼の心の中の描写は、とても視覚的でイメージしやすいように思えたのですが、難しい部分もあって、そしてその病気について本質的なことを理解していないせいもあってか、完全に理解できなかったような気がします。
しかし反対に、浄念の妻、住職の玄宗とその妻の麻子、3人から見た浄念の描写はとても分かりやすく納得できるものばかりだった。まるでマトモでないように見える浄念の行動や気持ちを理解しよう、寄り添おうとする、周りの人たちの戸惑いと温かさは、最初はそれが浄念を追いつめるのじゃないかとハラハラしたけれども、やはりそれがあるから読んでいる私は安心して浄念がどこへ行くのかどうなるのかを見守る事ができたのだと思う。
映画を見たい。この浄念をスネオヘアーがどんな風に演じるのかを見てみたくなった。