のんべんだらりといきましょう

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半落ち

半落ち [DVD]

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キャストが豪華で、ここらへんからも「力を入れて作りました!」という感じがビシビシ伝わってきた。
熟年男性俳優大集合でしたよ!しかも誰もがネクタイ締めて。「スーツ」ではなく、「背広」がピッタリな感じ。皆が貫禄十分で、吉岡秀隆がまだまだヒヨっ子に見える。骨髄移植によって助かった青年、高橋一生(『IWGP』の和範)など赤ん坊に見える!ぐらい可愛い。いつの間にか吉岡くん贔屓になっていたことに、改めて気づかされた。あの相変わらず鬱陶しい髪型すら魅力的に見えるとは…。
TV放送でカットされた部分があったのかもしれないけれど、刑事・志木(柴田恭平)、検事・佐瀬(伊原剛志)、弁護士・植村(國村隼)、裁判官・藤林(吉岡秀隆)をもっと深いところまで見たかった。この事件への思い入れや葛藤がサラリと描かれているだけのような気がして、あらすじを追っている感覚になってしまった部分もあったなぁ。
以下ネタバレあります。



寺尾聡と樹木希林の熱演も見ごたえあって、ラストの裁判の場面は泣けた。それ以外で泣けてしまったのは、裁判官・藤林の父親(井川比佐志)がアルツハイマー病に侵されてすっかり「壊れてしまっている」場面であった。元裁判官であった父親が、裁判開始の号令を聞くと裁判官であった自分を取り戻し、姿勢を正して目の焦点が合ってくる。切ない描写だった。そんな義理の父を、梶(寺尾聡)のように「愛しているから殺す」ことなく、鼻歌を歌いながら面倒を見ている妻(奥貫薫)の強さもすごいと思ったし。だから、藤林は判決に執行猶予をつけなかったんだと思うけど、ここら辺ももっと見たかった。
映画を見ただけでは、梶が何故51歳まで生きようとしたのかが最初よく分からなかったな。いろいろ見回ってわかったのが、51歳になるとドナー登録が抹消される、それまでにひとりでも多くの命を自分が救えるならば役に立ちたいと思ったから、ということでいいんだよね。
何だかんだといいつつも泣かされてしまった映画でありました。