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はてなダイアラードラマ百選

『伝説の教師』 (2000年4〜6月 土曜21時放送 日本テレビ系)
【スタッフ】
プロデューサー …池田健司
脚本・・・石原武龍、福田千津子、吉田智子後藤法子
演出・・・倉田貴也(1)(2)(4)、大谷太郎(3)(5)(6)(8)、羽住英一郎(7)(9)、猪股隆一 (11)
原案・・・松本人志
主題歌…THE HIGH-LOWS 「青春」


【キャスト】
南波次郎…松本人志
風間大輔…中居正広
神宮寺絹香…永作博美
池内怜子…夏木マリ
岡村公平…益岡徹
浅井龍津次…竹中直人


【あらすじ】
50以上の学校を渡り歩いてきた“伝説の教師”と呼ばれる男・南波二郎。やる気もなく、その上借金取りにまで追われているいい加減な男。そして、5時には職場を後にするようなサラリーマン教師・風間大輔。女にだらしなく、当たり障り無く問題を解決するためなら生徒の前で嘘泣きもする男。この二人が、時に衝突し、時に協力しながら2年D組で起こる様々な問題を大胆な方法で解決してゆく。


【紹介】
◆はじめに
このドラマには「笑い」の要素がぎっしり詰まっている。どんなにテーマがシリアスであっても「笑い」を忘れない。ここまで「笑い」を重視した学校モノ(教師モノ)を私は初めて見たし、それが新鮮であったから今でも忘れられないドラマの一つになった。そんなドラマの見所をいくつか挙げてみたいと思う。


◆南波のブチギレ
「常識」という言葉に敏感に反応し、生徒の理屈には屁理屈で逆襲する南波の逆ギレが最大の見所。おそらくアドリブの入りまくっているだろうこのブチギレが笑いと爽快感を一気に運び込んでくれる。
とは言っても、笑いだけではなくその主張には南波の一貫した主義が感じられるし、妙に納得させられる。一番印象に残っているキレは、「大人をなめんなよ!」。もちろん前後にいろいろなエピソードが入ってこそのこの言葉なのだが、面と向かって言う事も言われる事もなかなかなかったこんな簡単な言葉を、思いっきり吐き出せる南波が羨ましく見えた瞬間でした。


◆南波と風間のボケとツッコミ
ドラマなのかコントなのか微妙なラインをフラフラしているのは、この二人の会話。テンションが上がりすぎて笑いをこらえて演技を続ける様子は、他のドラマだったら絶対NGなんだろうなと思う。前半の刺々しいやり取りが、徐々に微笑ましくなってくることからも南波と風間の信頼関係が見えてきて面白い。それは、二人を演じている松本人志中居正広の距離感そのものだったのではないだろうか。


◆いつもと違う第8話
毎回毎回大爆発する南波のブチギレ節だが、8話だけはちょっと様子が違う。いつものように大げさに喚かない、淡々と伝えるだけであった。死を目前にした少女に「生きること」を問われ南波はこう答える。

人間に許された唯一の特権は笑うことや。笑いながら生きるというのが、人間としての証なんや

「生きること」と「笑い」、これは松本人志そのものを表わしている言葉だと思えた。この話で披露される南波と風間の漫才コンビ「お笑い南風」のネタは、大爆笑を誘うほどの破壊力はなかったけれども、眉間にしわを寄せていた少女が笑顔を取り戻す場面では自分も一緒になって笑う事が出来たし、その後公園のブランコを楽しそうにこぐ姿には泣かされた。


◆お遊びいろいろ
いろいろ仕込まれた小ネタも面白い。オープニングで二人がハンマーである物を叩き割るのだが、その小物は毎回違いエピソードとリンクしていた。後半、どういう繋がりかよく分からないものもあったが、それをあれこれと考えるのもまた一興であった。
また、毎回少しだけ登場する美女達の中には、柴咲コウ小雪菊川怜などがいたり(当時は全く分からなかったが)、意外なスペシャルゲストが来たり、色とりどりの南波のカーディガンコレクションなど意外と遊びの部分もあったりする。


◆主演の松本人志
「生徒のため」なんて全く頭にない南波が叫ぶ言葉は、表現はともかくとても客観的だと思う。そして教師(=聖職者)であろうとする気もさらさらないため、生徒に対しても親に対しても本音をはっきりぶつける。そこが最も魅力的であった。松本人志が初主演という意味でも話題となったが、演技がぎこちない訳でもなく、むしろいつもどおり「ダウンタウンの松本」そのものであったように見えた。これを演技というのかは今でもよく分からないけれども。ただ、お笑い芸人・松本人志であったからこそ、南波二郎という教師がここまで魅力的に見えたのは間違いないと思う。




ドラマ百選のお話を受けてからアップするまでに間があいて流れを止めてしまい、ご迷惑をおかけしました。このようなまとまりのない文章を最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございました。
次のバトンは、若手俳優を中心に舞台、テレビに関するアンテナがいつも感度良好のモンさん(id:mon-chan)にお渡ししたいと思います。よろしくお願いいたします〜!