のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

白夜行 #11

最後は雪穂(綾瀬はるか)でも亮司(山田孝之)でもなく、笹垣(武田鉄矢)がすべてだったように見えた。すっかり笹垣視点でこのドラマを見ていたようだ。公園におびき出された笹垣が亮司に刺された瞬間が自分の中で最高のクライマックスだったなー。初回の冒頭で亮司の最期は分かっていたけど、亮司が真実を口にするチャンスをどうにか与えてあげたいと思っていたからかもしれない。頼みの綱の笹垣まで刺されてしまって、もう終わりだ…と思い悲しくなってしまった。その後袋詰めにされながらも脱出する脅威の生命力には驚かされたが。亮司の罪を一つ一つ挙げ、捕まえてあげられなかったことを詫びる笹垣の姿にはグッときたよ。亮司にとっての、唯一の正しい大人であり、親であり、敵であったんだろうなー。笹垣の言葉を受け入れることができれば良かったのに。
残された雪穂はまさに「生き地獄」。与えられた幸福が幸福とは感じられず、もはや太陽もない暗い世界では歩くことさえもままならないのだろう。白夜でさえなくなってしまった。そして警察に本当の事を言わなかった時点で、彼女の罰は永遠に終わることがなくなった。生きている意味もないのに、死ぬこともできない。残りの人生をどうやって生きていくのだろうなぁ。亮司の息子と手を繋げたことがたった一つの救いにも見えるが、雪穂の表情が見えなかったのでどんな気持ちで亮司の息子を見ているのは分からなかった。
身勝手な雪穂やそんな雪穂に言いなりの亮司にイライラさせられることも多かったが、かなり見ごたえのあるドラマだった。役者の熱演もあってか、見るのに「さあ見るか!」と覚悟のいる重さでもあった。あと武田鉄矢は文句なしでMVP。怖いし、不気味だし、でも亮司と雪穂にはなくてはならない最後の良心だったと思う。
ドラマが終わったことだし、ぜひ原作を読んでみたい。