のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

Mother #9〜11

9話
分かっちゃいたけど泣かされた。つぐみちゃんとの別れももちろん辛かったが、なおさんがうっかりさんを「お母さん」と呼び手を握る場面が苦しかった。再び繋がれた手がまたしても離れてしまうのかとか、うっかりさんとなおさんがかつて経験した別れを今度はなおさんとつぐみちゃんが経験しなければならないのかとか、うっかりさんの強さと優しさとかそういうものが一気に押し寄せてきた。松雪さんの、今までの抑えた演技を爆発させるような絶叫にもグサグサとやられました。
あれだけ世間の目を一番に気にしていためいが、「母親」になっていた事にも泣けたし、鈴原の母が「褒めるべきだった」と電話口でなおさんに伝えたのも胸にくるものがあった。前回、虐待への過程を丁寧に描かれてその心情を少しは理解できたと思ったつぐみママの態度にはやっぱり腹が立ったし、このドラマには激しく感情を揺さぶられます。登場人物それぞれの感情が見てるほうにもストレートにぶつかってきて、誰か1人(例えばなおさん)だけの視点で見るのではなく、うっかりさん、鈴原家、つぐみママなど、それぞれの考えに泣いたり怒ったりと、見ているだけでとても消耗しますね。
離れるのを嫌がるなおさんとつぐみちゃんを見て、刑事たちはどんな事を考えるのかなーと本筋とは関係ないことも気になった。告訴状が出ているから誘拐として捜査するしかないんだけど、虐待の可能性、誘拐犯を母と慕う子供、子供の事を心配し大切に思っている誘拐犯を見て、「それが仕事だから」で割り切れるものなのかな。


10話
笑顔で頑張っていたつぐみちゃんが、電話口で泣き出した場面で号泣。施設に入って、そこで上手くやっていくため、上手く馴染むために、「れな」になるつぐみちゃんの子供ながらの判断力がスゴイ。これまでの辛い環境が小学2年生とは思えない機転の利かせ方を生んでるのかな。そう考えると、本当に可哀想に思えてくるよ…。
以前鈴原の母がなおに「助けるために連れ出したのではなく、母親になりたくて連れ出したなら単なる誘拐だ」というような事を言っていた時は、まだ漠然としか分からなかったんだけど、今回雑誌記者が「なおさんの罪は母親になろうとした事です」と言っていた事でやっとその意味が分かった気がする。雑誌記者は、本来のジャーナリストとしての冷静さを取り戻してこの事件にあたり、一見なおさんに残酷な現実を突きつけてばかりいるようではあるが、彼女にとってこの冷静さはとても必要なんだと思う。
鈴原の母とうっかりさんが病室で手を握り合ったところもジーンときたなぁ。二人の母親に支えられてなおさんは幸せ者だと思う。うっかりさんと鈴原の母、表現方法も態度も違うけど二人とも本当になおさんの事を愛しているんだからね。


11話
悲しいし辛い場面もあったけれど、最後のクリームソーダで明るい希望が見えたのが良かった。うん、そうだよね、小さなつぐみちゃんとなおさんが一緒に住む…っていう訳にはいかないものね。つぐみちゃんじゃないけれど、じゃあ一体いつこの二人は会うことが許されるのか?ってのがずっと気になってたんだけど、やはり成人した時にその自由を得る事ができるのか。
うっかりさんが犯した罪は、「夫を殺した」程度に匂わせておくだけかと思ったら、ここに来て具体的でヘビーな展開を見せられて驚いた。うっかりさんには、真実を誰にも告げず一人で全て抱えていなくなってしまうという強烈な母の愛を見せ付けられたけど、それをなおさんが全く気が付かないままなのはどうなのかな。まぁ、そこまで描くと「母性」というテーマから離れていってしまうから、描きようがないのかもしれないけど。
このドラマの「同じシチュエーションを効果的に繰り返している」のが好きでした。例えば、最後の「クリームソーダは飲物です」とか、以前はしりとりにも参加しなかったなおさんが食卓を囲んでのダジャレ大会とか、渡り鳥に向かって叫ぶつぐみちゃんの「私も連れてって」と「ここにいるよ」の違いとか、今までの場面を大切にしつつ変化を伝えてくれる演出には唸らされるものがありました。
つぐみママのその後が見たかったんだけど、そこまでいうのは欲張りかな。あと、役に立ってないんだけど、いるだけで実に和むかほの彼氏が良かったなー。鈍感なんだか天然なんだか、それともかほが大事だからか、なおさんが逮捕された後もいつもと変わらず一緒にいるというその鷹揚さが何気に魅力的でした。若い男っていうとあのつぐみママの恋人・虐待男もいたけれど、何気に虐待男とかほの彼氏も対照的だったなーなんて思いました。