うみべの女の子 1 浅野いにお

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

タイトル＝小梅＝主人公なのかと思っていたが、そう単純ではなさそう。もちろん、小梅も海辺に佇んでいるので、彼女の事を言っているのかもしれないが、1巻の段階で「うみべの女の子」はSDカードに入っていた見知らぬ画像の女の子の事だった。そして主人公も小梅なのかと思っていたが、小梅を通じて磯辺を描こうとしているのかな。
中学生同士のセックスがガッツリ描かれているけれど、エロさはほとんど感じられなかった。作者の絵のせいなのか、物語の内容のせいなのか、作品の雰囲気のせいなのか、エロティシズムとは違ったもの感じました。
以下、内容に触れています。




「普通の中学生って何だろう？」とは思うけれど、たぶん鹿島が一番普通でまっとうな中学生男子なんじゃないかと思う。だから、気になる女の子の事にちょっかいを出したり心配したりと、ちょっとウザイ表現で描かれていたが彼の気持ちはよく分かる。
小梅が誘って始まった磯辺との関係も、時が進むにつれ立場が逆転するあたりが面白かった。相手にされなくなっていく事に不安に感じる小梅だけどそれも恋心ではないみたいだし、磯辺が丸まったように眠るのは結局セックスでも満たされていないからだろうし、この不毛な関係がどういう形で決着するのかが気になる。
続きが気になる引きで1巻が終わったけれど、2人の今後は暗澹たる日々しかないような気が。小梅と磯辺の関係は学校や近所で今後さらに噂になっていき、鹿島が好きだった桂子と小梅は絶縁、女子からはハブにされ、三崎先輩たちからは酷い目に合わされそう。磯辺に関しては野球部OBにボコられ、よく分からない父親と死んだ兄の事でさらにぶっ壊れ具合が加速しそうですね、って想像しただけで鬱々した気分になりますね…。