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空が灰色だから 1 阿部共実

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)

12話の短編で出来たオムニバスストーリー。1話ずつが短いけど、そのおかげでテンポ良く読めるし、無駄な描写がない分ピンポイントでギュっと狙いを定めてくる感じが好きです。
以下、内容にも触れています。



全体的に毒々しい病んだ感じなのかと思ったら、ホロリとくるような切ない話も多かった。2話「お前は私を大嫌いなお前が大嫌いな私が大嫌い」は、それこそ完全に毒全開なのかと思いきや、合間に差し込まれる森永さんと明のやり取り見てると悲しくなってくる。気持ちを抱えきれなくなってコマいっぱいに「大嫌い」の連呼をし始めた明は不気味なんだけど、その次のページでまるまる使って明と森永さんが笑顔で仲良く歩いている姿を見せられたら胸が痛くなるわ。そして最後のコマでは吐瀉物まみれで保健室に運ばれる明に気づきもせずに、前のページと同じくいい笑顔で他のお友達と一緒にいる森永さんを見せる残酷さに震える。
3話「空が灰色だから手をつなごう」、7話「ひとりぐらし」も良かった。最後にホッとするようなほのぼの話も好きです。それか逆に6話「今日も私はこうしていつもつまらさなそうな顔をしているあいつとつまらない話をして日を過ごしていくのだ」のような追い詰められた話も好きです。両極端です。9話「夏がはじまる」は最後の1ページに尽きる!…と思う。肥田くんの肩を落とした後姿の余韻がジワジワとくる。10話「奴を見てる私を奴が見てる」は10話目だからこそ面白かった。ここまででこのマンガのテイストを十分に味わった後だけに、「いつものオチか〜」の裏をかいてきて騙されたのが気持ちよかった。