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神はサイコロを振らない #9

うわーん、号泣でした…。かなりこのドラマのテンポや空気がツボに来ていたようです。必要以上にドラマティックに煽らなかったのが良かったのかな。淡々と、それぞれの人がそれぞれ最後の瞬間を迎えていたのが良かったなぁ。
ヤス子(小林聡美)と哲也(山本太郎)の別れの場面なんて、セリフだけならぶっきら棒で恋人たちの別れ特有の湿っぽさはあまりないのだけど、二人の表情やセリフの言い方が逆に涙を誘ったよ。指輪をはめてもらうために手を差し出すヤス子の、その手の出し方も2人らしくてまた泣けてきた。
そして、ヤス子と哲也を押しのけるほど魅力的だったのは、亜紀(ともさかりえ)と菊介(武田真治)の会話。菊介カッコよすぎる!あれは反則です!「僕の事は忘れてください」なんて、思いもよらないお願いだった。それっぽい雰囲気の中でストレートに告白されたりするより、ちょっと屈折したこの言い方に悶死ししそうになりました。最高です。
結局、奇跡は起きなかったのだけど、この終わりには満足しています。CGなどを使って涙涙の別れにせず、最初からいなかったのように静かに消えていた乗客たち。少しずつ痕跡を残しているのがまた切ない。CDや花束、メッセージが残されている中、ヤス子の婚約指輪だけが無くなってしまったのもね…最後の哲也との会話を思い出してしまいまた号泣。「送信記録がなかった」というのに、消えてしまった事への揺るぎがたい事実があるようで、たった一言ではあったが大変重かった。ただ、パラレルが出てくる*1とは思わなかったな。
遺族会の甲斐(尾美としのり)に最後の最後で見せ場が。彼が消滅情報をリークした時、大屋本部長(岸部一徳)が言いかけた「あなたは…」というのは、このことだったんだろうね。
過剰な演出もなく、それでいて笑ったり泣いたり、考えさせられたりとかなり面白いドラマだった。ただ、402便の乗客が多すぎたような気がする。ヤス子を中心に描くなら、こんなにたくさんいらなかったんじゃないかな?上手く生かされていなかったと思う。個人的には、柚子(市川実和子)と昇子(明星真由美)のエピソードは不要に感じた。ヤス子にも大して絡んでいなかったし。あと神蔵(ベンガル)の教え子に会いたいというエピソードと、霧島(矢沢心) と日向(丸山智己)の引ったくりエピソードも。特に、お笑いコンビと神蔵さんは、ヤス子の言動にそれまでとは矛盾を感じたし、少々強引な展開だったような気がして。その代わりに、瑠璃子成海璃子)や、甲斐さんの方をもう少しじっくり見たかったなー。しかし、これらの事を差し引いても、かなり楽しめたドラマでした!

*1:あくまで可能性の一つとしてだが