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氷室冴子さん死去

訃報:氷室冴子さん51歳=作家 「なんて素敵にジャパネスク」など少女小説で人気
http://mainichi.jp/photo/news/20080606mog00m200033000c.html

ショック…氷室さんの「少女小説」には大変お世話になりました。児童文学から小説へと手に取るものが少しずつ変わっていく時、最初に出会ったのが氷室さんの作品だったと思います。『クララ白書』『雑居時代』『ざ・ちぇんじ』『ジャパネスク』『なぎさボーイ』シリーズ、などなど。
中でも大好きだったのは『シンデレラ迷宮』と『シンデレラミステリー』。収納スペースの関係で、数年前に手持ちの漫画・小説を半分以上売ってしまった時も、この2冊だけは売らずに取っておいた。本当に好きだったなー。有名な童話や物語を違った角度から見ると…という流れが大好きで、稀代の悪役達が主人公リネの分身として悩み苦しんでいる姿を見て胸が苦しくなったりしたものです。オディールが特に大好きだった!
訃報を聞いて、本棚から『シンデレラ迷宮』を引っ張り出し読み直したよ。文体などが若々しすぎて照れて読みづらいかな…と思ったけど、久方ぶりに読んでも全く問題なかった。それどころか、「森を出るべきではなかった」の王妃の話を読んで泣きそうになってしまったではないか。あの頃より大人になった分、違った感覚で読むことが出来たようだ。当時はオディールの苦しみも半分くらいしか理解できていなかったのかもしれない。
『なぎさボーイ』シリーズも、なぎさの視点、多恵子の視点それぞれから見ると同じ物語がまた違って見えるというのが気に入っていた。物語の手法として、そういうやり方もあるのか〜と始めて知ったのもこの小説。なぎさ編の多恵子は実に鬱陶しかったけど(なぎさ主観の視点だから)、多恵子編を読むと多恵子に感情移入しすぎて号泣した。おかげで当時は凛としていて強い槙修子が大っ嫌いだった!これも今読むとまた違った感想を持つのかもしれない、もしかしたら槙修子の方が魅力的に見えるかもしれない。
こんな事を書いていたら、氷室さんの作品をまた読みたくなってきてしまった。『なぎさボーイ』シリーズはもちろん、倉橋さんちの数子さんもまた読みたいし、『ジャパネスク』も中盤で氷室さん離れしてしまったので、もう一度最初から読み直したい。
氷室さんの小説を読んで泣いたり笑ったりドキドキした日が、自分の生活の中に確かにありました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

シンデレラ迷宮 (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

シンデレラ迷宮 (集英社文庫―コバルト・シリーズ)