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ぼくの夏休み 青春編

平成から戦時中にタイムスリップした和也とはる菜の物語は、少年編の7年後からのスタートでした。大人になった和也とはる菜ですが、平成の時代へと戻る事はできたのでしょうか…って、戻れてないよ!!戻る気もなかったようだよ!
少年編(感想はこちら→)があまりにも面白かったので、青春編にも大きな期待を抱いて見ていたのですが、少年編のような熱い盛り上がりにはなりませんでした。すれ違い、人違い、誤解に陰謀、ヒロインのパンパンデビュー、許されない恋、鬼の姑、友の死に流産に放火に…と昼ドラらしさは満載の展開だったと思うのですが、それ故に少年編との隔たりが大きすぎてきつかったです。トンデモ展開が悪いとは思いませんし、そういうドラマも大好物なので、昼ドラならではの超展開だから楽しめなかったという事ではなかったのです。
一番物足りなかったのは、登場人物がきちんと描かれていないように思われた事。少年編では、マツおばあちゃん、省吾さん、佐代母さん、ちえ子などなどたくさんの人が和也はる菜ときちんと関係を結び、それぞれの役割がしっかりとあった。憎まれ役の大五郎や勇作も、兄妹との関係性が確立した上で虐げる役を全力で披露していた。だから、どのキャラにも魅力や面白さがあって、ドラマの中できちんと生きていたと思うのですよね。それに対して青春編になると、確かにいろんな人が兄妹の周りにいましたが、結局和也とはる菜しか描かれていないから、2人に都合のいいように(プラスにもマイナスにも)しか動いていなくて誰にも肩入れできなかったのです。ちえ子が途中黒化したのは面白かったですが、和也の恋人だった京子さんはもっと話に絡んでも良かったと思うし、幼少時から一緒に逃げてたむっちゃんはほとんど役立たずだったし、せっかく戦争を潜り抜け生き抜いた栄次郎も少年編とは別人のような扱いだったし、終盤再登場した五十嵐先生にいたっては何しに登場したんだかよく分からないまま終了してしまった。見てて安心できたのはキクちゃんくらいでしょうか。最終週になって、急に佐々倉先生が大活躍しだして、それはそれで面白かったですが、もうそれは見てるほうもヤケクソの域に達していたというか。
あとは、いろいろ説明不足なのが最後まで気になりました。追々明かされたり説明されるのかなー?と思って見てましたが、特にそのようなものもなく。青春編になって急にピアノで生計を立ててる和也に驚いたし、さらに『世界にひとつだけの花』が重要なキーになっていたりしたけど、せめて少年編で「本人は面倒くさがっていたが、和也は平成でピアノを習っていた。」とか、「二人で辛さを紛らわすためにあの曲をよく歌っていた。」なんて設定があればもっと思いいれのあるエピソードになったような気もします。和也とはぐれたはる菜が、どうしてちえ子と一緒にいたのか?とか、兄妹の祖父「椎名一郎」は?はる菜が「みらい」と名前を付けた事に意味はなかったのか?とか、少年編と青春編の繋がりが上手くできてないのは勿体なかったなー。
和也に関しては、互いに兄弟と気づかず恋心を抱いてしまう…というのはまだ良かったのですが、兄妹だと分かった後もいつまでも妹に欲情して「誰も知らない所に行けば大丈夫!」とやる気満々だったのにどん引きました。何が大丈夫なんだよ!結局、それを実行して最後は二人で誰も知らない所でおじいちゃんになるまで牧場経営をしていたようですが、あれだけ和也の執着を見せられると、美しき兄妹愛では到底終わらないんだろうなーと想像させられるのが怖かったよ。
よく、がっかりさせられる展開として夢オチがあげられるけど、このドラマに関しては夢オチでも良かったなー。だって、あの二人神隠しにあった状態で消えたわけですよね。平成にだって家族はいるのに…。平成にあの幼い兄妹を帰してあげたかった。パンパンデビューした段階でももうその線はなくなってたんだろうけど、でも二人が現代に戻りおじいちゃんの家に無事着いて、よく見ると上条旅館の跡地に耕作さんが開いたであろう美味しい小料理屋があったり、佐代おばあちゃんの笑顔の遺影があったり、五十嵐医院が今も経営したり…とあの戦争後みんな幸せに未来を生きていたんだ(省吾さんの決意は無駄にならなかったんだ)…というのがうっすらと分かるようなエピローグを見せてもらいたかったよ。
そういえば、最終回で升さんたちが特別出演してるとオープニングで分かって、必死で探してしてしまいました。アヤコ役の人が楽しそうに火の中に飛び込んでいこうとするのには笑ってしまった。あれはアヤコじゃないんだろうけど、アヤコっぽさ全開でいい笑顔だったな!