のんべんだらりといきましょう

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『発火点』真保裕一

ミステリーかと思って読むとそうではないようで、でもミステリーの要素もあって、という作品のペースに乗るまでは迷いながら読んでしまいました。語り手が一人称の「俺」なので、読んでいるとすっかり「俺」の視点になってしまい、主人公が感じる社会や人間関係の不満に同調してしまいまいした。しかし、中盤のある出来事からハッと気がつきます。ダメなのは周りの環境じゃなくて、主人公のお前だー!気持ちがいいくらい騙されていましたよ。
ラストで感じる「さっきまでは読者だったのに、いきなり物語の舞台に立たされる」ような感覚は好きです。