のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

青い文学

  • 人間失格 鬱々とした展開に相応しいどんよりとした映像と堺さんのくぐもって心地よい声。6作品を振り返ってみると、これが一番オーソドックスで分かりやすかったんだなぁと思う。
  • 桜の森の満開の下 コメディだったりミュージカルだったりホラーだったりとバラエティに富んだ手法で描いていて、なかなか楽しめた。ただ、さすがに山賊の声を堺さんが演じるのは厳しかったんじゃないかと。上手い下手よりも声質の問題で。
  • こころ 個人的にこれが一番合わなかった。自分の抱いていたイメージを壊されて、それがプラスに働かずマイナスなだけだった。Kは変質者でお嬢さんはビッチとかさすがに無理…。
  • 走れメロス シリーズの中ではこれが一番面白かった!木内さん贔屓なのもあるが、それを踏まえてもキャストの熱演もあったし、構成がとてもよく出来ていて見事だった。作家の高田とメロスがリンクしていく様、最初は戯曲の語り部だった高田が、観客になり、セリヌンティウスになり、ディオニソス王になり、そして城島の元へ向かうメロスになり、とメロスの物語が高田の物語になっていくのにゾクゾクした。高田が城島のもとに間に合った時はちょっと泣けてしまったよ…。堺さんは劇中のメロスだったけど、舞台での演技が、当たり前だが見事にはまって一番しっくりくるキャスティングだったような気がした。
  • 蜘蛛の糸/地獄変 2つで1つの作品と見た方がいいのかな。地獄はカンダタが落とされた場所だけじゃなくて、良秀の目に映る世界も地獄そのものだったという。王様の周りに見られた中国テイストの入ったきらびやかな色彩に溢れた世界観は面白かった。地獄変のラスト、良秀の前で燃え上がる様子はもっと狂気と残酷さに満ちていてもよかった気がするが、最後に書き上げた絵は恐ろしかったのが良かった。