のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

塀の中の中学校

受刑者5人がそれぞれの演技が見事で、ドラマにどっぷり浸かる事ができた。特にせいじさん。こんなに上手だとは思ってもみなかった!他の4人の前向さについていけず、悪態をついたり邪魔をしたりとクラス内でも浮いた存在だったが、その微妙な浮き加減が上手かったなー。「イジメなんかしたくないのに!」と泣き出す場面はセリフも演技もグッときた。生徒が成人している大人だから、一般的な学園モノのような「訳の分からない苛立ち」というようなもので誤魔化さず、皆きっちり自分の人生や内面に向き合っているのも良かった。そんな小山田に「努力してから向いてるかどうか考えろ」と語りかける石川先生にも、自分の過去の経験が生きているからこそ、上から目線の正論にならなくて見ているこちらも納得できた。
短い時間ではあったが、川田と息子が対面するシーンは泣けた。読み書きのできなかった川田の『よだかの星』の朗読は反則です。延期になってしまった発表会での、岩手の特産品=宮沢賢治の発表見たかったよ。
そして、今回も死んでしまうんじゃないかとハラハラさせられた大滝秀治おじいちゃん。頑張りすぎて死んじゃうの?小山田を前向きにさせるために死んじゃうの?卒業式を前に死んじゃうの?と何度も何度も心配させられたが、ちゃんと卒業できて良かった。最後の最後、あの敬礼が素晴らしかった。ラストを佐々木でしめたおかげで余韻に浸ることができました。気持ちの入っていなかった石川先生に生徒5人が詰め寄る場面では、他の4人の迫力(特に謙さん)も満点だったが、佐々木に「私たちをなめるのは仕方ない、しかし仕事までなめているんじゃないか」と一喝されたのが一番効いた。やっぱり大滝さんすごいよ…。
石川先生が旅立つ生徒を見送りながら「彼らとはもう2度と会うことはない」と考えていたが、1年間毎日5人の生徒と向かい合って、でも卒業したら2度と会わないというのはやはり普通の学校とは違うんだなと思った。少人数だからこそ、濃密な時間になるだろうに、先生と生徒、生徒同士もきっと2度と会うことはないと思うと、生徒たちにとってそれはまた貴重な体験だと思う。卒業式で龍神があの歌を歌っている姿を見てたら、小山田も一緒に歌っている姿を見たかったと思わずにはいられなかった。