のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

スマグラー新装版 真鍋昌平

新装版 スマグラー (アフタヌーンKC)

新装版 スマグラー (アフタヌーンKC)

夢を失い、無気力に日々を過ごす砧が借金返済のために手伝うはめになった「運送屋」とは、遺体をはじめとしたキケンなブツを運ぶ仕事であった…というところから始まる。ヤクザ、チャイニーズマフィア、殺し屋とこれまでの生活とは全く縁がないような人々が暗躍する世界であがく砧の物語。巻末に収録された書き下ろしと比べると、当時の絵は荒々しくて読み辛い所もあったけど、それがまたこの世界にマッチしていて、ドロドロした世界の圧力やスピード感、主人公砧の悲壮感や決意をより強烈に見せるのにマッチしていたように思える。当時の絵も好きだな。
グイグイ引き込まれて面白かった。殺伐とした中にも、信頼感や他者に対する優しさなどが描かれてるし、バイオレンスものだけど、その中心には砧という青年の成長物語があるのでとても読みやすい。殺戮マシーンでありながら、哲学的な感性を持つ「背骨」も面白いキャラだった。