のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

透明なゆりかご

1話

原作既読。重い…冒頭の中絶と出産の対比ですでに胸が苦しくなる重さ。過剰な演出をせず、淡々と日々起こることを見せているからより重く感じるんだろうなぁ。でも、そういう表現があっていると思うし、そこがこのドラマの魅力なんじゃないかなとも思う。

2話

1話のラストも今回の女子生徒の自転車爆走も、アオイの想像であってそれが真実なのかは明らかにされないんだけど、それでも必死な表情のアオイと同じように、「誰か!」と叫びながら病院へ向かう女子生徒に胸が締め付けられた。

院長先生の瀬戸康史もすごくいいなぁ。あのポジションなら「人生の先輩感」のある人のがドラマがしまるのではとも最初は思ったけど、若くても落ち着きがあり、確固たる信念を持って患者と接しているのが良く出ててぴったりだと思った。

それにしても、新生児が儚過ぎて怖い…。その命が自分の些細な行動一つで左右されると思うと、責任の重さに恐怖すら感じてしまうよ。

3話

号泣してしもうた。田畑智子の怒れる妊婦さん役が抜群だったー!素晴らしい…。ただのヒステリックじゃなく、根底に流れる「どんなに怒っても解消されない怒り」をちゃんと演技で見せてくれた。

怒涛の怒りから、眠り続ける夫の前で見せる心が痛くなるような静かな表情、陣痛の中まるで子供のように声を上げて泣く姿、母になった穏やかな微笑みまで、とにかく見事だったなぁ。

4話

覚悟していたが重かった…。3話の怒れる妊婦さん同様、まーちゃんの夫も怒りと悲しみをぶつけられる場所もなく絶望に押しつぶされそうになってたんだろうね。アオイの祈りを込めた想像であったとしても、今はもういないまーちゃんからの励ましには胸が苦しくなったし、その悲しみ中一人でパパになっていった(ならざるをえなかった)夫さんの事を想うと辛かった。

5話

4話と続けて見るにはキツイかと恐る恐るの鑑賞だったが、ママのママ、ママ、そして息子のとても素敵なお話で、明るい気持ちで見終わることができた。良かったよ。瀬戸康史いいね!

6話

中絶を扱ったお話。中絶というネガティブさ、だがそれが必要な時もある事、そしていつか来るその時のための準備でもあるという考え方、45分のドラマの中でいろんな角度から大いに考えさせられた。

老医師の「あの台に上がって、できたからまた堕ろせばいいなんて思える人はいないと思う」の言葉に一番ガツンと殴られた。中絶を考える時、うっかり見逃したり、見過ごしてしまう視点だなぁと思ったよ。

角替和枝さん演じるおばあさんが本当に本当に素敵だった。おばあさんのキャラだけではなく、ああやって演じられる角替さんご本人の素晴らしさと魅力を今更ながら改めて見せつけられました。

7話

ミカを虐待していたのが実母だというのはヘビーすぎた。だけど、世に流れるニュースを見てもない話じゃないんだよね…。子供への深く大きな愛がたとえ永遠に続かないとしても、あの瞬間の気持ちは嘘ではないことを、子供たちがみんなが知る事ができればいいね。

2018年の今ならともかく、アオイが子供の頃は障害に対する理解が学校の教師でさえなかった時代のようで、アオイ自身が辛い思いをたくさんしただけでなく、お母さんも本当にきつかっただろうなと思う。子供に声を荒げながら同時に自分自身を責めていただろうし、具体的な描写はなかったけど夫との間にもたくさん大変な事があったに違いない。お母さんもいろんな事を乗り越えて今があるんだよね。

8話

望月さんの夫(時生さん)が登場した瞬間、どういう経緯でこの二人結婚したの!?とスピンオフな過去編を所望してしまったw 望月さんに「婦長みたいになりたい」と言われた時の婦長さんの表情に苦しくなったよ。望月夫婦の序盤のギスギス感もね…。見てられなかった。

9話

重くてずっしりと疲れた。静かで淡々とした描写は、時にドラマチックさで感情に訴えるような演出よりも心に響く。10歳の女の子に内診台の乗り方を先生が説明するというワンカットに、鈍器で殴られたようなきつさを感じた。

あのお母さんは、これからたった一人でいろんな事を考えて決断して、アミちゃんの気持ちに寄り添って助けて育てて守っていかなきゃいけないの?アミちゃんが苦しいのはもちろん、お母さんも辛すぎるよ…と考えると泣けてきた。

だから、先生たちの存在やアオイの「望めば救いの手は差し伸べられる」という希望が被害者やその家族の支えになればいいと思ったよ。今回はいつもより時間があっという間に過ぎた気がした。

最終話

自分でも引くほど大号泣してもうた。積極的治療をするかしないかなんて、どっちを選んでもきっと後悔が残るじゃん…と思っていたが、ラストで救われた気がしたよ。

灯里さんと無菌室にいたお母さんの話に、これまでのアオイと母の話が加わって、アオイの「母にギュッとされて嬉しかった」を聞いた灯里さんが泣きながら「お母さん、トモヤを抱きしめてあげて」と言った流れがあまりにも美しくて、号泣しながらもすごいなぁとその構成にも感動した。

杏ちゃんの演技も素晴らしかった!そして夫役の金井勇太さんも!!犯罪者役とかクズキャラ役などでも定評(なのか?w)のある方だけど、今回の夫さんも良かったな~。上手くいかない事も乗り越えて父親として成長していき、一緒に考えながら妻を支えた素敵な旦那さんだった。

1話1話が重くて、妊娠出産=おめでとう!だけではないという、当たり前の事を丁寧に見せてくれたドラマだった。かといって、絶望感が漂うというわけではなく、そこには光が必ずあった。アオイの清潔感と透明感、由比先生の柔らかい見た目の内にある強い気持ちもこのドラマにぴったりだったと思う。