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御法度

御法度 [DVD]

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すいません、ラストがよく分かりませんでした。さすが映画だなーと思うのは、やはり殺陣のシーンだった。特に開始直後の新選組入局試験となる打ち合いは、緊張感と人物の姿勢の美しさに圧倒された。
近藤、土方などのキャスティングはNHKの『新選組!』の記憶が新しいために、思わず笑ってしまうものが多かった。特に、伊東甲子太郎伊武雅刀だったのと、武田観柳斎がスキンヘッドの大男だったこと。
以下ネタバレあります。



衆道(男色)っていうのがまずキツかった…。なら見るなってことだが、ここまであからさまだとは思わなかったので。惣三郎と隊士(田口トモロヲ)の同衾場面もバッチリ描かれていたのだけど、むしろこのように直接的に描かれたほうが「作り物」っぽさを感じて平気だった。逆に、惣三郎を性的魅力に溢れた美少年に見せるための演出やカメラの動き方などの間接的な表現の方が抵抗感があった。惣三郎を見る男の目とか、それを見返す惣三郎の目とか…うーん、く、苦しい。
そんな雰囲気の前半より、隊士を殺害したのは誰だ?とか、惣三郎の正体は?というミステリーっぽい展開になってきた後半の方が楽しめた。でも、結局はっきり答えはでない。ミステリーではないから仕方ないんだろうけど。惣三郎の前髪には願がかけてあることや雨月物語の引用から、新選組に恨みがあり誰かとの約束を守るために入隊したのだと思ったのになー。それで、あえて男を惑わすような言動をして本懐を遂げようとしているというストーリーを頭の中で組み立てていました。全然違ったけど。
となると、「前髪の願掛け」や「隊士殺し」「山崎殺し未遂」などの謎はどう処理すればいいのだろうか。最も分からなかったのは、「ちょっと用を思い出した」と戻っていった沖田の行動は?惣三郎の想い人が沖田であることは、土方のイメージした「菊花の契り」やモノローグから答えが出るのだけど、沖田はどうなんだ?とか思ったり。
新選組隊士を惑わす美少年・加納惣三郎(松田龍平)は確かに美少年なんだけど、新選組内部が異様な雰囲気になってしまうほど魅力的に描かれていたかどうかは謎だったなぁ。台詞もモゴモゴしていて聞きづらかったし。
沖田役の武田真治と山崎役のトミーズ雅がよかった。特にトミーズ雅!上手でした。いたって感性が普通の人が登場したー!と安らぎましたよ。最初から惣三郎に骨抜きにされている隊士達と違って、ノーマルなんだけど惣三郎の色香に惑わされそうになって「いかん、いかん」と我に返る感じがすごく自然だった。武田真治は演技もよいが、なにより目の保養であります。
大島渚監督の作品は私にはハードルが高いようだ。