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ネバーランド 恩田陸

ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)

誰もいない寮で過ごす男子高校生4人の1週間。それぞれが秘密を抱え、それを互いに告白することで深まる連帯感と、救い。
4人の男子高校生があまりにも美しくて、眩しくて、ちょっと気恥ずかしくなるくらい。脳内で妄想する「憧れの完璧な男子高校生」が今、目の前に…!ってな感じである。読みながら自分も5人目の寮生として、一週間を共に過ごすことができたような錯覚を起こしてしまいそうだった。
以下、ネタバレになるかもです。




光浩は、その言動と過酷な生い立ちもあってかなり印象深かったし、一番好きなキャラクターだが、それと同じくらい統も気に入っている。何をしでかすか分からない奇想天外さと、インパクトのある2面性が面白い。最後の年賀状ではジーンとなってしまった。
4人が同じ秘密を抱える共犯者として心を許していく過程が丁寧に描かれていて、秘密の告白という陰の部分と、テニスや辛すぎるカレーななどの陽の部分が、不自然なことなく繋がっている。心地よい連帯感に包まれたこの時間が永遠に続けばいいのになーと思う頃に、それはもうすぐ終わってしまうのだと気づかされて寂しくなった。
それぞれが前向きに立ち上がる頃に物語は終わる。この4人に明るい未来が待っていることを願わずにはいられない気持ちになった。…これって青春小説だよね?

ドラマ化されていたのを思い出して調べてみたら、サブタイトルのあまりのいただけなさに閉口。どうみても小説とは別物としか思えなかった。一体どんなドラマだったのか…。