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子供たち怒る怒る怒る 佐藤友哉

子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る

青々とした、抑えきれない自意識とでもいうのだろうか…?上手くいえないけれど、そういうものに完全に中てられて疲れた。他者との関わりの否定、結局あくまで自分自身だけで完結する物語なんだなぁと。
『大洪水の小さな家』に見られる『』の多用や、『死体と、』の改行を一切しない表現など、あれこれ表現を試しているのは読んでいて楽しかった。『死体と、』で可哀想な少女の死体を中心に、くるくると主体が変わっていく様子が実に自然に流れていくのは、気持ちよく読めた。
表題作の『子供たち怒る怒る怒る』は、ミステリーと勘違いして読んだのが間違いだった。牛男が登場するのには意味があるのだ、パンダのぬいぐるみを執拗に喰わせるにも理由があるのだ!といろいろ考えながら読んでいたのは無駄だったようだ。横山さん、「失敗!」で惨殺されたのか…哀れ過ぎる。ぼくと妹の関係に対する葛藤も解決されないまま終わってしまったし、そもそもぼくが妹のことで苦しむのは、理不尽な世の中とは関係ないよね?
大人という理不尽な化け物の代表、八尾さんの父親と対決する場面で、塩見くんが急に「俺にかまうな!イジメ良くない!」と言い出したところなんか、これはどこのジャンプ漫画ですか…?とポカーンとなってしまったよ。
きっとこの作者の書く作品に対する構えかた(っていうの?)を間違えていたのだと思う。野球をやる気満々でグローブ片手にグラウンドに飛び出たら、始まった試合はサッカーだったみたいな感じ?なんだか意味の分からない喩えだし、合ってないような気もするけれど。次にこの作者の作品を読む時は、そこのところを気をつけて読もうと思った。