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神童 1〜3 さそうあきら

神童 (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

神童 (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

周囲の人間だけでなく、世界も変えてしまうひとりの天才少女の物語。喜び、怒り、悲しみ、憧れなど人間の豊かな感情をピアノの音に乗せて表現しているのが面白かった!天才少女と凡才の青年が出会い、それぞれが成長変化して天色の音を見つけるまでの過程と思い返すと、最後のうたの演奏はジーンとくる。うたの生活にはいつも音があり、初恋も嫉妬も別れの寂しさも初潮でさえも音と共にある。
以下、ネタバレもあります。



1巻はほぼ野球編といってもいいくらいなのだが、チームメイトとのやりとりや試合の様子も面白かった。野球を描いてはいるが、やはりそこには音楽が必ず流れているからだと思う。
演奏描写で、すごい!と思ったのは、ワオと香音が初めて一緒に演奏した時と、ロブコウイッツの代理で演奏している時。迫力が伝わってきて熱い気持ちになった。うたの「私は音楽だから」がクライマックスなのかと思っていたら、その後の思いも寄らない展開にビックリしてしまったのだが、最後の演奏会で、うたが裸足でステージに表れ、ミコちゃんのくれた椅子に腰をかけるところでグッときた。
うただけでなく、ワオもミコちゃんも自分の音、音楽に対する気持ちを見つけることができたのが感動的だった。