クローンは故郷をめざす

クローンは故郷をめざす PREMIUM EDITION [DVD]

美しい映像と静かでゆっくりとしたカメラワークで、クローンや宇宙飛行士など近未来の事を描いているのに、どこかノスタルジーに溢れる映画でした。SFというよりファンタジーなのかな。
最後に救いはあるけれど、主人公にとっては自分の中に残る大きな後悔を埋める旅でもあり、残酷な旅でもあったと思う。ドラマチックな場面も多く、キャラクターの心情が強く伝わってきたけれど、反面穏やかで長く続くシーンには、少々眠気も覚えてしまいました。
ミッチーはどの場面でも美しかった。笑顔のない役柄なので、その端整さが特に強調されていたように思えました。おにぎりを両手に持ってモグモグする場面が可愛かった！少年の心を持ったままで旅をする姿がやはり見せ場でしょうか。
以下、ネタバレもあります。



クローンとなって再生しても、ノボルを失った苦しみから逃れられない耕平が辛い。何度クローンとなっても、目の前に息絶えた自分の分身が現われるって残酷だ。ただ、少年耕平が出来なかった事（のぼるを家につれて帰る）を出来たというのは、耕平にとって救いだったんだろうとも思う。少年の心をもった耕平の最期が切なかった。耕平も母とノボルと一緒にあの家に戻る事ができた場面は、とても美しくてグッときた。