のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

モリのアサガオ #9&10

9話
及川の怒りや苦悩が悉く自分の感覚とずれているので、彼の言動にいちいちツッコミをいれたくなってしまう。自殺未遂した渡瀬に向かって、「何で死のうとしたんだ!!!」って怒りだしてポカーン。いや、命を粗末にするなってのは分かるけど、確実に死が待っている渡瀬に向かってそこで一方的に怒っても仕方ないだろう…と思ってしまったんですが。小春ちゃんから話を聞きだして本人に詰め寄ったはいいが、単に渡瀬の心を乱しただけだったというあれも、まるで渡瀬が一方的に暴れて大変だったみたいな扱いだが、そもそも及川が原因ですよ。そろそろ若林先輩は及川と渡瀬の接触を禁止した方がいいと思う。もしくはきっちり指導を!及川の必死な気持ちも分かるけれど、とにかく何をやるにもアプローチが強引すぎて見ててハラハラ(イライラともいう)するよ。相手の気持ちを知りたい知りたい言っている割に、相手の気持ちを考えてあげないんですよね。
渡瀬が死刑にこだわる理由も分かったけれど、犯人の身内に手を出そうとするような男なら死刑判決を待つまでもなく、渡瀬が相手の目の前で自殺した方が安心だったんじゃないだろうか…という気がしなくもない。「殺人犯の死刑」に拘るのはむしろかつての事件でそうならなかった渡瀬の方で、相手方は死刑にならなかった犯罪者の身内なんだから、死刑制度なんて当てにしていないんじゃ。正常と異常のギリギリのライン上で苦悩するような渡瀬を見てると、どうにかならないものか…とは思ってしまうんですけど。


10話
伊藤さん、ARATAをはじめ、個性的な死刑囚の面々や刑務官達はみなさん熱演で、それは文句なしに素晴らしかったと思います!中盤までは、及川の行動も気にはなったけど、死刑囚達の圧倒的な迫力に目を奪われていたので、まだ許容範囲だった。しかし、深堀が退場し、残すは及川と渡瀬の交流のみにエピソードが搾られると、どうしても及川の行動が目に付いてキツかった。で、結局、及川は何様なの…というのが最後に残った強烈な印象。
これまで散々「再審請求しよう!」と騒いで渡瀬を苦しめてきたのに、いざ渡瀬の不安材料がなくなって死刑を無理に受け入れなくても良くなった段になって「死刑を受け入れるべきだ」と180度意見を翻すのはどういうことですか。罪に向き合ってないからダメだというのが、及川の確固たる信念から来る考えならばそれは仕方ないが、それを渡瀬にも押し付けて死刑を強要する、そんな権利が及川にあるのだろうか(受け入れる渡瀬も渡瀬だが)。刑務官の仕事を「人殺しだ」と苦悩する後藤刑務官の気持ちの方がよっぽど理解できるよ。渡瀬に死刑宣告をするくらいだから、その事実を一生背負っていくくらいの覚悟がとっくにできているのかと思いきや、死刑前日になって「間違っていた」なんて言い出されても!!そこで渡瀬(引導を渡した相手)に泣き言言うなよ!と。渡瀬が死刑になった事が嫌だったわけではなく、再審請求してやっぱり判決は変わらなくて死刑であったなら、すんなり納得できた。もしくは、脅迫男の死亡を渡瀬が知ることなくそのまま判決を受け入れて、仇討ちを悔いるまでの気持ちになってたら。
それでも、両親を惨殺され、自分は肩に傷を、妹はショックで言葉を失い、ただひたすら復讐のみを考えて、そして実行し、自殺を試みながらも1年間逃亡、自首、死刑判決、妹を守るためにあとは死を待つのみ…という渡瀬の人生の最後の最後で、心を許せる友=及川と出会えた事が彼の幸せだったんだと考えて、そういうものなんだと思うことにします。って、これが小春ちゃんの心境か。いやでも、小春ちゃんもさすがに「ありがとう」はないんじゃないかなー。及川を罵倒してもおかしくないレベルなんじゃないか。
重く、難しいテーマのドラマではあったけど、前半は本当に楽しめた。何度も言うけど、役者さんは皆すごかった!ただ、どうしても及川に共感できなかったのが残念です。