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ネムルバカ 石黒正数

ネムルバカ (リュウコミックス)

ネムルバカ (リュウコミックス)

バンド活動に夢中な先輩とちょっと抜けてる後輩の大学生活モラトリアムな日々…なんだけどゆるそうでゆるくない、絶妙なさじ加減が面白かった。
以下、内容にも触れています。




駄サイクルから自分の限界の話を経ての先輩のメジャーデビュー話ときちんと手順を踏んでラストに繋がっていくのが気持ちいい。永遠に続くかと思えた日常が終わりに向かって急展開する6話ラストの先輩の表情に不安を覚えながら迎えた最終話。先輩と後輩の進む先がどこなのか気になって一気に読み進めてしまった。先輩らの日常生活が駄サイクルに陥っていたとしても、落ち着いて読んでいられたのは一歩外側から見たような冷静な視点や言葉が必ずあったからかな。*1先輩が必死で掘り続けていた壁を、スコップで突破する事に成功したわけでもなく、軽やかに飛び越えるでもなく、現れた扉によって向こう側へ行ってしまった描写はやるせなかった。
コメディではないけれど、クスリと笑える場面がいくつもあった。私の場合、たいていは後輩が切れる場面。夜行バスの中で音漏れ男に切れてた時の壮絶な顔は何度見ても笑える。
『外天楼』『ネムルバカ』しかまだ読んでいないけれど、石黒先生の漫画ってコマ割りも好きです。リズムなのか?読みやすさなのか?よく分からないけどとても心地よい。

*1:例えば『ソラニン』の場合はあまりにも内側からの視点で見ててきつかった