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いとしのニーナ 4 いくえみ綾

いとしのニーナ 4 (バーズコミックスデラックス)

いとしのニーナ 4 (バーズコミックスデラックス)

読んでてどんどん重苦しい気持ちになった。でも、面白かった!スタートが女子高生の拉致監禁事件なだけに、素直に「面白い」と言うのは憚られるような気持ちになるが。
毎度毎度、このシリーズは装丁がすごく凝ってます。カラーが三点、カバー下にもこれまでの場面が印刷さて、カバーの折り返し部分には「あれ?カバーが破れてる!?」と見間違えるようなシワのデザインや、白い紙が挟まれていて驚かされた。
以下、ネタバレもあります。



2巻、3巻の恋愛モノのような展開から一転、実にヘビーな流れに。ニーナに拒否られてた厚志が、牛島と同じ立ち居にになってしまう所にはゾクゾクした。人間関係の紙一重さ、複雑さ、誰もが加害者であり被害者である…というのが、いくえみ先生らしく丁寧に、胸の深いところに切り込んでくるような苦しさを伴って描かれていました。牛島に関しても、とても許される男じゃないという気持ちがあるにはあるが、それでも厚志目線で物語を追っていると、ニーナの怒りよりも厚志の戸惑の方に共感してしまう。3巻の終盤で、牛島の可愛そうな境遇が出てきた時は一体どう受け取ればいいの?と戸惑ったが、こういう形で厚志に繋がっていったのでとても素直に読む事ができた。
終盤の牛島再びの場面は、これどうなるの!?とハラハラしつつ静かに盛り上がっていった。厚志は頑張ったと思うよ。きっと、これからもっといい男になるさ。最後ニーナと厚志がどうなったかまでははっきり描かれていないが、そこがまたいい余韻になった。決して爽やかな気持ちで終われる話ではないが、この重苦しさは嫌いじゃない。好きです。