のんべんだらりといきましょう

はてなダイアリーから引っ越してきました。

イノセンス #10

坂口さんの思いつめた瞳の美しさ、最後に奥様に見せた草刈さんの笑顔のステキさ、犯人役だった武田さんの狂気の演技と心惹かれる場面はたくさんあった。だがそれだけでなく、消化不良な部分もあったのですよね。
神津が犯行を行ったそもそもの原因が冤罪による警察検察への不信感だったのは、冤罪をテーマにしたドラマとあってなるほど~と思ったけれど、その神津というキャラクターによくわからない部分が多かった。
捕まっても仕方ないと思いながら警察検察を嘲笑うために11年前の犯行を行い、でもバレなかったから(それが理由?)その後海外に逃亡…したのは分かりました、再び富士田を生贄に冤罪事件を作り上げたのはなぜだったのだろう。11年ぶりに戻ってきても何一つ変わっていない司法の様子に腹が立って再犯したの?種明かしして検察をバカにしたいなら、なぜ11年も沈黙していたのか。タバコを現場に残したり、同じアカウントやハンドルネームでわざわざ11年前も今回も生贄役に接触したり、迂闊な行動はわざとヒントを残していたのだろうか。(そこまで考えている風には見えなかったけど)
和倉さんが刺されたのも意味があったのかなー?と思った。そもそもなんで黒川を刺そうとしたのが明らかにされてなかったよね。神津がすべての罪をあんなにあっさり自白するなら、そして和倉さんも早々に何事もなかったように復帰しているなら、わざわざあのエピソードを入れて時間を割くよりも、いきなり神津が自首する所からスタートして、神津とのやり取りや発端の痴漢冤罪に関してもう少し詳しく見せてもらいたかったな。武田さんの演技が素晴らしかっただけに余計そう思うよ。
あと裁判の終盤で、「裁判長、私から一言申し上げたい」と超スマートに立ち上がった黒川パパはかっこよかったけれども、あれダメなんじゃ…。傍聴席から突然の発言って許されるの?w全員敬意をもって耳を傾けてたけど、本来なら裁判長に「発言を控えてください、退廷を命じますよ!」って怒られるんじゃないのか。それが気になって気になって、黒川パパのお話と、その後の黒川による大事なまとめがあまり頭に入ってこなかった…!
秋保先輩は「今後は検察側の科学捜査に協力する(可能性がある)」というように啖呵を切って黒川と袂を分かつような展開だった割に、いつも通りにちゃんと協力しててちょっと肩透かしを食らった感もある。だがそんな事より、証言席に立った秋保が「捜査機関が証拠を意図的に取捨選択したり、隠ぺいするなど言語道断」「科学捜査が発達しても、それを使う人間が腐っていては意味がない」と視聴者のストレスを汲んで糾弾してくれたのにはスッキリしたよ!
そしてそんな至らなさをたった一人ですべて受け止め、恥をかかされ続けた指宿検察官の不憫さよ…。毎回毎回本当にお疲れ様でした。ガッチガチの悪役キャラじゃなさそうだったから、最後の方で覚醒して黒川とこっそり手を組み、冤罪を生んでしまうような組織の在り方に一石を投じる行動を取ってくれるかとほんのり期待していたのだが…そんなことはなかったね。秋保先輩の検証を「証人は被害者の兄であるため個人的な感情が含まれている可能性があり、検証に信ぴょう性があるか疑わしい」くらい言いだして、さらにヘイトポイントを稼ぐかと思いきや、さすがに最後は空気(というより時間かw)を読んでましたw
いろいろと気になる事を書いたけど、ドラマ全体としては心を揺さぶられる事も多く、面白かったです。毎回のゲストのキャスティングがお見事でどの話にも印象的な場面があった。特に、ともさかさん、吹越さんと山下さん、鶴太郎さんと星野さんがゲストの回は強く心に残ってる。坂口さん目当てで見始めたけど、それだけでは終わらない面白いドラマでした。