のんべんだらりといきましょう

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離婚なふたり 後編

「ごめんね、笠智衆になりたかったんだよね」の静かなクライマックスに引き込まれたました。小林さんやっぱりすごいよ…。それを受けた「笠智衆になりたかったよ」のリリーさんの表情にもぐっと来た。結局は離婚してしまった二人だけど、孫が生まれた事を知り肩を寄せ合いながらスマホをのぞき込む姿は、いつまでも仲の良い夫婦のそれに見えた。それだけに切なさ倍増。
岡田さん演じる弁護士もとても良かった。映画を見ている時の表情の変化と、「あなたは『東京物語』にはなれない!」と夫に語る姿が熱かった。それが、離婚を切り出されて焦りながらも、本質が見えず上辺だけの対応でなんとか引き留めようとする夫を完全に打ち砕き、本気の「妻へのラブレター」を込めた脚本を執筆するきっかけになるのだよね。夫がなりふり構わず書き上げた姿を見て、妻が思い直してくれたらな…と思ってしまった。
別れる時ってドラマのような盛り上がりがあるわけでもなく、こんなに静かに穏やかに終わっていくこともあるんだよね。夫が書き上げた脚本ではまた次の嵐がやってくるとの事だったが、別れた妻が見つめる先にあったのは凪を進むヨットであった。寂しく切ないながらも、清々しいラストでした。