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マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜

「母親ってのは愚かなものなの」にすべてが込められていたなぁ。もちろん、その愚かさは愛情そのものなんだというのが強く伝わってきたけど。
みどりが代理母を引き受けたのは、とにかく娘の理恵を守りたい助けたいの一心で、その強い愛情には圧倒された。けれど気になるのは、みどりも理恵も母体の安全は何度も口にしたけど、生まれてくる子供に影響がないかはあまり問題にしていなかったこと。子供が成長するにつれて問題になるであろう複雑な家族関係や出自のあやふやさなどではなく、誕生する子供が何らかの病気や障碍を持つ事無く、無事に産まれるかの不安は無いのだろうか。そこは十分に母娘で話し合われたのかな。
みどりの夫が存命で、理恵の夫がロジカルすぎる研究者じゃなければ、きっと状況は違ったんだろうね。この母娘2人とも相談する相手がいなかったのが痛々しい。母娘だけの閉ざされた環境の中で「父親」の意見がなかったから、理恵も代理出産に対して頑なになってしまったのかな。
理恵の中で、代理出産が子供を授かれない辛さや悲しさ、子供が欲しい気持ちの中で始まった事なのか、それとも産婦人科医としてもしくは女性代表としての野心や功名心、医者としての探究心が動かしている事なのか、両方あるんだろうけどそのバランスはいかほどなのかも気になります。